特集 国外送金の外国為替管理に関する近時の発展

2016年11月以降、中国の規制当局が対外投資及び外国為替管理の監督強化を決定したことが広く報道されている。このような措置の目的は、海外における買収の数量を監視し、米国ドルに対する人民元の為替レート下落に歯止めをかけることにある。これに続き、2017年1月、中国の中央銀行である中国人民銀行及び国家外貨管理局は、それぞれ、外国為替送金及び対外直接投資の規制管理に関する中国政府の将来の方針を一層根拠付ける通知(銀発[2017]9号及び匯発[2017]3 号を公布した。また、中国商務部及び国家発展改革委員会は、対外直接投資案件に対する承認及び届出の要件を強化する規則を公布した。
中国人民銀行及び国家外貨管理局の新たな通知並びに関連当局が発表した新たな措置についての解説によれば、主要な変更点は、以下のとおりである。


  1. 貸金の返済、配当金の支払い及び対外直接投資の支払いを含む、中国企業の資本勘定による外貨の両替ないし送金のうち、(1回の取引で)500万米国ドル以上のものについては、「高額報告」を国家外貨管理局に提出することが求められる。上記報告義務を免れる目的で送金を分割して行うことは明示的に禁止されている。上記送金は、国家外貨管理局が承認した後に限り行うことができる。
  2. 特に対外直接投資取引について、中国の銀行が500万米国ドル以上の額に相当する対外直接投資取引としての人民元の両替及び海外送金の依頼を受けた場合、当該銀行は、4つの機関(国家発展改革委員会、中国商務部、国家外貨管理局及び中国人民銀行。以下、総称して「承認機関」という。)の承認を受けるために、当該依頼を届け出る必要がある。当該銀行は、4つの全ての承認機関から承認が得られるまで、当該対外直接投資取引にかかる海外送金手続を進めることは許されない。承認機関は、当該取引の真実性及び法令遵守性の認証を中心に審査する。かかる認証のためには、投資の資金源の証拠、資金の使用計画、役員決議、取引書面その他取引の真正を証明する証拠を含む、追加の情報及び書面を承認機関及び銀行に提出することが求められる。また、送金を依頼する企業は、国家外貨管理局・中国人民銀行から承認を得る前に、これらの機関との面談を行うことが求められる。
  3. 既に従前の規定の下で承認を得ていたものの、送金を完了していない対外直接投資取引のうち、特に取引額が5000万米国ドル以上のものについては、新しい規則に則り承認機関によって改めて審査される。
  4. 承認機関は、以下の種類の対外直接投資取引について、厳格に審査する。
    1. 不動産、ホテル、劇場、エンターテイメント及びスポーツクラブ事業を含む特定の分野における不合理な投資(注:「不合理な投資」は、新しい規則の下で定義されておらず、承認機関の解釈に委ねられる。)
    2. 中国の出資者による非中核事業に関する多額の取引額の対外直接投資取引(注:「多額」は定義されていないが、10億米国ドルを意味すると解される。)
    3. パートナーシップによる対外直接投資
    4. 中国の出資者の資本が海外の買収対象の資本よりも小さいプロジェクト
    5. 設立後1年に満たない新規の中国出資者によるプロジェクト
    6. 対外直接投資取引についての人民元の資金源が合理的で有効な裏付けを欠き、かつ、中国法に違反する可能性のあるとき
  5. 外商投資企業における5万米国ドルを超える配当の送金は、同様の認証手続に服する。新たに追加された重要な要件として、送金を行う外商投資企業は、外国の出資者に配当を送金する前に、過年度の全ての損失を補填する必要がある。
  6. 中国の会社から海外の関連会社に対してなされるアウトバウンドの貸付に際し、貸主は、あらかじめ国家外貨管理局に登録され、かかるアウトバウンドの貸付について限度枠の割り当てを受けなければならない。貸付は、中国の貸主と海外の借主の間で資本関係が存在する場合にのみ許される。貸付が認められるには、一定の資本割合を実現している必要がある。

現時点において、これら新しい措置が施行される時期は明らかになっていない。政府が過度の人民元の流出及び人民元の下落を管理している限り、規制が緩和される可能性もある。しかし、これが主に政策的に導入されたものであることから、政府の動きを注視することが有益であると考える。

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