JONES DAY Alert
January 2017
JONES DAY
ALERT
NIHによる新たな臨床試験情報開示ルールの公表

2016年9月16日、 米国保険福祉省(the Department of Health and Human Services、以下「HHS」)は、米国国立衛生研究所(the National Institutes of Health、以下「NIH」)が運営している臨床試験情報の公式レジストリであるClinicalTrials.govにおいて公開する臨床試験情報の範囲を拡大する新たな規則(以下「新規則」) を公表しました。

新規則は、臨床試験の登録・開示に関するいくつかの条件を明確にするとともに、承認されなかった医薬品、 生物学的製剤及び医療機器に関する試験結果情報の提供を求めること、(一部の削除は認めるものの)全てのプロトコールと統計解析計画の提供を求めること、有害事象情報の提供範囲を拡大すること等により、開示範囲を拡大しました。新規則は、2017年1月18日に効力を生じ、登録義務者(スポンサーまたは臨床試験責任医師)は、効力発生日後90日以内に新規則を遵守することが求められます。

この規則の変更により、公開情報として入手可能となる情報の量及び種類が増加し、特許性を有していた情報が公知となるリスクや、特許申請の検討過程において審査官が引用し、または訴訟等において特許クレームの無効主張の根拠となる先行技術として当該情報が使用されるリスクが発生することになります。この点、米国特許法第102条は、いったん発明が公知となった場合は、何人によっても特許を受けることができないという原則に基づき、何人も、「クレームされた発明が、当該発明に係る有効出願日前に、特許されていた、印刷刊行物に記述されていた、または、公然使用販売その他の形で公衆の利用に供されていた」場合を除き、特許を受けることができると規定しています。

新規則は、原則として、FDAが規制する医薬品に関する第Ⅰ相試験以外の介入試験で、臨床試験実施機関のひとつが米国内に所在する等一定の条件を満たすものを、臨床試験情報提供の対象としています。登録義務者は、原則として、最初の被験者の登録後21日以内に臨床試験の登録をしなければならず、また、提出期限の延長が認められる一定の場合を除き、臨床試験の第一完了日から1年以内に結果情報を提供しなければならないとされています。

臨床試験の登録に関しては、試験の主目的等、従前は任意の登録情報であった情報について、登録が義務づけられました。また、新規則においては、製品が米国において製造され輸出されたか等、新たな登録項目が設けられています。

結果情報の提供について、 新規則は、製品がFDAより販売承認が得られたか否かを問わず、医薬品、生物学的製剤及び医療機器に関する結果情報を登録・提供することを求めています。また、新規則は、従前は任意的に提供されていた情報や新たな項目の情報を開示することを求めています。さらに、新規則は、 (i) 参加者フロー、 (ii) 被験者の属性、 (iii) 主要評価項目と副次的評価項目の結果、(iv) 有害事象について、サマリーの提供を求めています。有害事象については、提供する必要のある情報の範囲を拡大しています。

新規則はまた、試験結果情報を提出するときに、全てのプロトコールと統計解析計画を提出することを求めています。ただし、登録義務者は、文書に個人情報や営業秘密が記載されている場合には、これを削除する機会が与えられます。従前より、臨床試験のプロトコールや試験結果は、訴訟等において特許クレームの無効を主張する根拠としてされてきました。今後は、ClinicalTrial.govに提出されるプロトコールと試験結果を注意深く検討することが、さらに重要になるといえます。

以上のとおり、新規則は、ClinicalTrials.govにおいて公開される臨床試験情報の範囲を広げました。このことにより、特許性を有していた情報が公知となる可能性が増大されましたので、臨床試験プログラム開発の早い段階で、潜在的な知的財産権の保護を図るための適切なステップを踏む必要があるといえます。





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2017年3月8日
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