JONES DAY Alert
September 2016
JONES DAY
ALERT
フランスサンシャイン法:医療専門家及び医療関係団体 との関係に関するコンプライアンス

フランス医薬品業界を揺るがしたメディアトール(Mediator)スキャンダルを受けて、フランスにおいては、ヘルスケア業界における利益相反を避けるための新たなルールが導入され、医薬・化粧品の製造、販売又はこれらに関連するサービスを提供する企業(以下「規制対象企業」といいます。)に開示義務を課すことが決定されました。

すなわち、医師への支払いに関する2010年米国サンシャイン法と多くの点において類似している、「フランスサンシャイン法」としても知られているベルトラン法(2011年12月29日付Law No. 2011-2012。2013年5月21日付 Decree No. 2012-414、2013年5月29日付 Circular No. DGS/PF2/2013/224 及び2013年12月3日付Arrêtéにより改正。)が、規制対象企業に対して、医療専門家(医師及び看護士、薬剤師、歯科医、研修医、医学生等の医師以外の者)又は医療関係団体(教授会及び患者会、医療関係出版会社、医療専門家にトレーニングを提供する企業、医療関係ソフトウェア企業、公立病院、私立病院及び教育病院等)との間の契約及びこれらの者に提供した利益を開示することを要求することとなりました。

このフランスサンシャイン法は、フランスの社会保障制度において費用償還の対象とされているか否かにかかわらず、規制がなされている事実上全ての医薬・化粧品(医療機器等、医薬品、生物製剤、生体材料、化粧品、医療関係ソフトウェア、タトゥー用品、コンタクトレンズ、治療・衛生用品等)の製造、販売又はこれらに関連するサービスの提供を行う規制対象企業に適用されるという意味において、米国サンシャイン法と比較した場合、ヘルスケア分野のより広い範囲をカバーしています。

近時、フランス保険総局(Direction Générale de la Santé)は、2014年後半に発行したガイドラインにおいて、フランスサンシャイン法の地理的適用範囲を拡大し、フランスを本拠とする企業と、フランス国内で活動している医療専門家又はフランスに拠点を置いている医療関係団体と契約し又はこれらの者に利益の供与をしているフランス国外に本社を有する企業の双方が、当該企業の製品がフランス国内において販売されているか否かにかかわらず、開示義務を負う規制対象企業に該当するとの一般原則を設定しました。この一般原則に関して、実務上、国際的な企業グループにおける開示範囲、具体的には、フランス子会社が、フランスの医療専門家や医療関係企業と交流を有している同一企業グループに属する国外関連会社に関する情報についていかなる範囲で開示する責任を負うかという点が、不明確な状態となっています。

フランスサンシャイン法が適用される規制対象会社は、医療専門家又は医療関係団体との間の全ての契約を開示する義務を負うこととされています(価格による限定はありません)。ただし、著名なフランス国務院の2015年2月24日付け決定(Conseil d’Etat, judgment No 369074)において、医療専門家又は医療関係団体による規制対象企業からの物品又はサービスの購入に係る契約や、テレビ、ラジオ及びインターネット企業との間の広告契約は、フランスサンシャイン法の枠組みから除外されるとして、この原則の例外が明らかにされています。

2番目の開示義務は、規制対象企業による医療専門家又は医療関係団体に提供される利益に関するもので、現金又は現物を問わず、10ユーロ(税込)を越える直接又は間接の利益が対象とされています。上記の決定において、フランス国務院は、規制対象企業に提供したプロフェッショナルサービスに対する対価として医療専門家に支払われる報酬(コンサルタント料及び給与)は利益と取り扱われ、したがって、開示義務の対象となると述べました。

フランスサンシャイン法で求められている実務的な様式ですが、契約又は利益に関する情報は、社会保険省により設定された独自のウェブポータルを通じてフランスにおいて開示することとされています(www.entreprises-transparence.sante.gouv.fr、現在アクセス可能なデータベースは、以下のサイトに開示されています: www.transparence.sante.gouv.fr)。

契約については、以下のデータを開示することとされています:(1)当事者、(2)契約締結日、(3)営業秘密に関する規則に基づいて特定された契約の目的・カテゴリー(契約の目的を詳細に開示する必要はなく、契約のカテゴリー(例えば、リサーチ契約、コンサルタント契約、トレーニング契約等)のみを開示することが求められています。)。

利益について開示対象となるデータは、以下の通りです:(1)当事者、(2)1ユーロ以下を四捨五入した、全ての税金を含む提供された利益額、(3)利益提供日、(4)利益の性格(物品の提供、現金の償還等)。

開示の時期は、利益と契約により異なっています。利益については、半年毎に開示することが求められており、上半期中に供与された利益については、10月1日にウェブサイト上に公表するため、遅くとも8月1日までに社会保険省に情報提供をし、下半期中に供与された利益については、遅くとも翌年の4月1日にウェブサイト上に公表するため、翌年の2月1日までに社会保険庁に情報提供をしなければならないとされています。これに対し、契約については、契約締結日から2週間以内に情報提供することが求められています。

フランスサンシャイン法に違反した場合、規制対象企業は、最大45,000ユーロ(対個人)及び225,000ユーロ(対会社)の罰金並びに最大5年間の関連するヘルスケア製品の製造、調合、輸入及び販売の禁止又は判決の公表等の追加的制裁を含む罰則が科される可能性があります(フランス公衆衛生法典L.1454-3条以下)。

フランス国務院によりその適用範囲が拡大されたサンシャイン法は、フランスの法制度が、フランスのヘルスケア産業の透明性及び責任の強化を図る強い傾向があることを示したものといえます。このような傾向は、ヘルスケア関連事項に関する認定消費者団体によるクラスアクションが最近導入され、2016年7月1日に効力を生じたことにおいても、明確に読み取ることができます。





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2016年9月28日
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