JONES DAY Alert
July 2015
JONES DAY
ALERT
米国不正請求防止法に基づく適応外販売促進への対応

米国の法律では、医薬品及び医療機器の製造業者が、適応外使用(”off-label”use)(医薬品及び医療機器を未承認の症状又は疾患に対し使用すること)を促進することが禁じられています。適応外とは、米国食品医薬品局(FDA)が承認した包装表示や添付文書に記載されていない用途で医薬品又は医療機器が使用されることを意味します。
このアラートでは、適応外での販売促進に関する米国不正請求防止法(FCA)に基づく医薬品及び医療機器の製造業者に対する米国政府の対応を取り上げます。

FCAは、政府から支払を受けるために故意に不正又は詐欺的な請求を行うこと又は行わせることを禁じています。この「請求」には、メディケア・メディケイド等の政府のヘルスケアプログラムからの支払いを含みます。また、FCAは、私人が政府のためにFCA違反に係る訴訟を提起することを認めています。この訴訟は私訴(”qui tam”actions)として、またこの訴訟を提起する者は内部通報者(”relator”)として知られています。政府は、訴状に記載された主張を調査し、その後、政府がその訴訟に介入するか否かを裁判所に通知します。政府が介入しない場合、内部通報者はその訴訟を遂行することができます。

近年、FCAは、違法とされる適応外での医薬品の販売促進を標的にしてきました。米国連邦食品医薬品化粧品法(FDCA)に基づき、製造業者は、FDAに申請し、FDAから承認を取得しない限り、新薬を流通させることができません。製造業者が提示する医薬品の表示案は、医薬品の承認申請の一部として含まれていなければなりません。FDAは、医薬品の製造業者が医薬品の表示の範囲を超えた用途で医薬品を販売促進することを禁じています。これは、販売促進によって未承認の医薬品又は誤表示の医薬品を州際取引に持ち込んだことがFDCA違反を構成すると考えられているためです。
もし会社が承認された表示の範囲を超えて医薬品を販売促進すれば、その医薬品は、FDAが当該適応での安全性・有効性を確認していないことを理由として新薬とみなされる可能性があります。この場合、FDAは、たとえその表現が真実であり誤解を招かないものであったとしても、製造業者がその医薬品の適応外使用を表現することを禁止しています。ただ、その場合であっても、FDCAが医療行為を規制していないことを理由として、FDAは、医師が医薬品をいかなる目的であっても(たとえ適応外使用であっても)処方することを認めています。

連邦ヘルスケアプログラムは、承認された医薬品に対してのみ支払いを認めています。適応外での医薬品の販売促進を追及する際に利用されているFCAの理論構成は、製品の適応外での使用を促進し、その結果としてメディケア・メディケイドから直接又は間接的に支払いを受領することによって、本来政府から受領することができない金銭を会社が受領した、とするものです。

メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)は、医薬品及び医療機器の製造業者による違法な適応外での販売促進を構成する行為について、非包括的なリストを作成しています1

  • 販売担当者が適応外使用を目的として製品を販売することを奨励すること
  • 医師が適応外使用を目的として医薬品を処方することにキックバックを支払うこと
  • 適応外使用で販売促進するために誤解を招くポスターを広めること
  • 専門研修医に適応外使用のために有利な販売促進の講義をすること等、様々な理由で適応外使用の販売促進に関連して医師に支払いをすること
  • 連邦ヘルスケアプログラムでカバーされていない適応外使用で支払いを受ける方法について処方医にアドバイスすること
  • 適応外使用で有効性を示さない試験を隠しつつ、有効性を示す試験を公開すること
  • 適応外使用で使われた医薬品の支払いに関して、直接ヘルスケアプログラムに対して誤った表明を行うこと

例えば、グラクソスミスクライン(GSK)は、複数の処方医薬品の適応外での販売促進に関連する潜在的な責任に関して、総額30億米国ドルで和解しました。その支払いの一部は民事でのFCAに基づく支払い、他方は刑事での罰金に対する支払いです。本件では、政府は、FDAが小児用途で承認していないにも関わらず、GSKが18歳未満の患者のうつ病治療のために医薬品パキシルを違法に販売促進したと主張しました。
更に、政府は、GSKが、大うつ病性障害治療目的でのみ承認されていた医薬品ウェルバトリンを、体重減少や薬物依存治療を含む複数の適応外使用の目的で販売促進したと主張しました。

適応外でのマーケティングに関するFDAの立場に対する挑戦にはいくつかの成功事例があるものの(例えば、U.S. v. Caronia, 703 F.3d 149 (2d Cir. 2012)(米国憲法修正第1条に基づき表現の自由が保護されることを理由として、適応外での販売促進に関する刑事事件を棄却したもの))、引続き、FCAは、適応外での販売促進の禁止を実現するためにFCAの原告である私人や政府が頻繁に用いるツールとなっています。

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1 http://www.cms.gov/Medicare-Medicaid-Coordination/Fraud-Prevention/Medicaid-Integrity-Education/Downloads/off-label-marketing-factsheet.pdf



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